御子の恋

廃ビルの秘密



俺はあちこち探した。

だが…沙羅の姿は見かけない…。

「ここには居ないみたいね。他をあたりましょ。」

さくらの言葉で頷く俺。

カンカンと螺旋階段を上がる音。

もちろん二人分だが…。

「さくら…。親は?」

さくらはピクリと反応。

「知らない。風花が知っているとばかり…。」

「どうして?離婚したんなら…。」

「離婚してないよ。健在。」

「じゃあ…。」

「…捨てられたからよ。」

ポツリと…耳を凝らさなければ聞こえない…かすれた声だった。

「……。」

俺は、検索しなかった。

さくらは辛い顔をして居たからだ…。

「この部屋…?」

さくらが疑問に思ったのは古さびたドアだった。

元の色は分からないが…茶色くさびていた。

さくらはドアを開けた。

目に広がったのは、たくさんの紙だった。

「これ…。マズイよ…。」

さくらは紙を一枚手に取るなりヤバイと言い出した。

「ほれ。」

さくらは紙を俺に差し出した。

俺はそれを受け取る。

…これは…マズイ…。

この紙は…魔法陣だった。

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