雨情物語①<猫会議>
猫は、突然話しかけてきた人間が行ってしまうと、後ろ足で器用に立ち上がりました。


むん、と胸を張ると人間が立ち去った方とは逆の方角に歩き出しました。


最近、変な人間が増えている。
猫はため息をつくと、明月院の紫陽花の植え込みに二足歩行のまま、枝葉を掻き分け入って行きました。


「やあやあ、もう集まっていたか」


猫はペタンコな胸を反らし、集まる猫たちに声をかけました。
円座になった猫たちは一斉に振り替えると、それぞれ挨拶をしました。



「今日の議題はなんだったかな?」

猫は二足歩行をやめ、猫らしい猫背で円座の中に入りました。隣の猫が、コホンと一つ咳払いをしました。
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