誠─紅き華は罪人に祝福を与う─



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屯所に戻ると、困ったような顔をした響が背に澪を張りつかせて、男を座敷で応対している最中だった。


奏達の姿を見て、ホッと息をついたのが分かった。




「お、お帰りなさい。えっと、あの…」


「ただいま。響、こいつに出す茶なんてうちにはない。茶菓子も勿体ない」


「酷いぞ?私は客人だ。しかるにもてなしを受ける理由はある」


「客?冗談だろ」




奏は鼻で笑った。




「まぁまぁ、奏ちゃん。響ちゃん、僕達にもお茶と茶菓子ちょうだい」


「あ、すみません!今持ってきますね!」




響は慌てて勝手場へと走っていった。




「澪ちゃん。一君の方に行っていてください」




響がいなくなった後、今度は奏の後ろに回った澪に奏は優しく促した。


それに従い、澪はトコトコと小走りで反対側にいる斎藤の元へ行き、空いていた膝の上にちょこんと座った。


斎藤も慣れたもので澪が座ると何をして遊んでいたのか、乱れた髪を手櫛で直してやっている。


意外と子煩悩っぷりを毎度見せてくれるので大助かりだ。




「何のようだ?」


「いや、別に?今の状況はこの私が出るべくもないからな。ここで暇を潰しているのさ」


「帰れ」




いちいち癪に障る奴だ。


澪がいなかったら聞くに堪えない罵詈雑言の嵐であっただろう。




「でもそんなこと言ったって君のご主人様は許さないんじゃないかな?」




そうだそうだ。


沖田さん、もっと言ってやれ!!


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