守ってくれますか?
手首はまだけっこう痛むし、空腹だし、少しだけど、くらくらもする。


それになにより・・・

アンリ様のあの、“憎悪”に満ちた瞳が、頭から離れない・・・


現に、まだ心はぶるぶる震えている。



・・・弱いな・・・

そっと、心の中で、ため息をつく。


あれだけで不調になる体も、
瞳だけで震える心も、


まだまだ、弱いなぁ・・・




元気な風を装うだけで、精一杯だ。








「・・・ヒカリ、辛いなら言え。」


ナオ様の優しげな声に、私はハッと、現実に戻る。


「・・・えっ・・・」

私は思わずナオ様を、じっと見る。


ナオ様は、優しげに微笑んでいた。



「ヒカリ、我慢はするな。俺が・・・
俺がお前を守ると言っただろ?」


その言葉に、鼓動が高鳴る。



「だから・・・ヒカリの辛いことは知りたい。」




優しい、優しすぎる言葉に、私の胸の高鳴りは、さらに大きくなる。


―――――だけど・・・


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