守ってくれますか?
私がじ~んと、感動していると、シュウ様が声をあげた。

「あ、あのナオが、優しい?しかも女に?ありえねえ・・・
ヒカリすごすぎ・・・・・。」

シュウ様、かすれた声で、なに言ってんだろう?
王子様は普通に優しいじゃない。

「シュウ、うるさい。ヒカリ。ほら、来い。」

王子様が部屋の中で手招きした。

・・・・・・あ、無理だわ。
私は即座に首を振った。

・・・だって・・・・・

王子様の部屋は、庶民の私には言葉に表せないほど、豪華だったから。

無理無理無理無理。
私なんかが入れるわけないって。

「警護、という仕事ですぞ。仕事放棄するのか?」

尻込みする私を諭したのは、意外にもじいやさんだった。

仕事放棄だって?
私が!?

「だれが、仕事放棄なんてするかっ!!!」

私は威勢よくそう言うと、ずんずん王子様の部屋に入っていった。

「私、絶対、王子様守りますから!!!」
私は部屋に入ると、そう宣言した。
その場にいる人全員に向かって。

「ほう、やはりヒカリは単純じゃのう。」

じいやさんの穏やかな声で気がついた。

私、じいやさんにはめられたぁ!!
く、悔し~!!!!


「では、ナオ様、私とシュウ様はこれで。」
「ああ、ありがとう。じいや。」
「え!?俺まで行くの!??」

「もちろんですじゃ。では、ナオ様。」
「しょーがねーなあ。じゃあな、ナオ!また明日☆」
「ああ、またな。」

私が悔しがっている間に、3人の間ではそんな会話がされていた。


・・・そして、いつのまにか・・・・・



私と王子様は、2人っきりになっていた。


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