素敵彼氏の裏の顔
「美優」
不意に名前を呼ばれ、顔を上げる。
目の前に立っているのは、大人っぽい膝丈のワンピースを着た女の子。
ナチュラルメイクで、ダークブラウンの髪をふんわりと巻いている。
彼女はあたしが関わってきた、あらゆる女性と違っていて。
あたしは違う世界へ来たのだと実感する。
……そうだよ、あたしはまた昔のことばかり思い出して。
神木たちも、淳ちゃんだってもういない。
新しい一歩を踏みださないと。
「美優ってば!」
前に立った都会女子はプーッと頬を膨らます。
「ごっ、ごめんごめん楓!」
慌てて謝るあたし。
淳ちゃんの記憶を払う如く、首をぶんぶんと振った。