素敵彼氏の裏の顔
「てめぇ、俺の何を知ってる!?」
橘はそう声を荒げ、俺の胸ぐらをつかみ上げる。
必死に抵抗したが、王者に勝てる訳もない。
次第に身体を震えが襲い、それを堪えるのに精一杯だった。
「何も知らねぇのに、知ったフリすんじゃねぇ!!
……マジでイラつく。
マジでブッ殺……」
鬼の形相だった橘の顔が、はっと緩んだ。
その視線は俺の遥か後ろを捉えていて。
俺の胸ぐらを掴むその手は、橘の脇にだらんと垂れていた。