素敵彼氏の裏の顔
「行かないよ」
耳元ではっきり声が聞こえた。
穏やかで優しげな声。
あたしを痺れさせるあの声だ。
思わず目を開いた。
すると、目の前に隼人の心配そうな顔があって。
「大丈夫?美優」
そう言って、あたしの額に手を当てる。
その瞬間、びっくりして辺りを見回した。
利枝の姿はどこにもなく、いるのは隼人のみ。
散らかった部屋のベッドに横たわるあたしを心配そうに見ていた。
なんだ、夢か。
ほっと押し寄せる安堵の気持ち。
だけど、何だか気分がすっきりしなかった。