素敵彼氏の裏の顔
あたしの目の前に、隼人が立っていた。
その穏やかな瞳は少し細められ、待ち遠しそうに遠くを眺めている。
隼人、誰を待ってるの?
あたしはここにいるよ。
「はや……」
名前を呼ぼうとした時、
「隼人君」
別の声が彼を呼んだ。
甘くて艶めかしいあの声。
あたしなんか足元にも及ばないような彼女……
分かっていても、現実を受け入れたくない。
隼人を離したくない。
「行かないで……
行かないで、隼人!!」
あたしは大声で叫んでいた。