素敵彼氏の裏の顔
ぼんやりとした瞳で前に立っている人物を見上げたあたしは、次の瞬間、完全に目が覚めてしまっていた。
いや、目が覚めるどころではない。
目が飛び出すかと思ったほどだった。
あたしの前に突っ立っているのは、楓でも隼斗でもなかった。
オレンジの髪を輝かせ、鬼のような形相をした淳ちゃんだったのだ。
「淳ちゃん……どうして……」
掠れた声でそう聞くと、
「どうしてじゃねえよ!」
淳ちゃんは大層ご立腹の様子。
溢れるオーラは完全に狂気に満ちていて、今にでも破壊活動を始めてしまいそうなほどだった。
こんなに怒っている淳ちゃんを見たことは、そうそうない。