素敵彼氏の裏の顔
「ご……ごめん」
淳ちゃんは、思わず謝ったあたしから目を逸らし、隣の隼斗を見る。
視線だけで人を殺してしまうほどの威力だ。
隼斗の隣にいた翼に至っては、ガクガクと大きく震えていた。
それなのに、
「美優、怖がってるよ」
超冷静に呟く隼斗。
言葉遣いこそ丁寧だが、その声はすごく冷たい。
あの時の神木を思い出さずにはいられなかった。
「てめぇは黙ってろ!!
ペテン野郎!」
淳ちゃんは負けじと隼斗に向かって吠える。
ヤバイ……
これは明らかにヤバイ。
何とかして止めないと……
そう思ったが、隼斗はそれ以上何も言わない。
この前の喧嘩が嘘のように。
これは隼斗の策略か、それとも、あたしがいるから大人しくしているのか。
いずれにせよ、隼斗は黒い部分を出さないことを徹底しているようで。
黙って淳ちゃんを見ているだけだった。