僕と彼女の秘密の物語。
「あっ、えっと、何も見てませんから!
僕、何も…」
その時、とあることに気付いた。
相手の姿がない。
男がいない。
彼女しかいない。
…男だけ一目散に逃げたのか?
いや、扉はここだけだし…
どこかに隠れているわけでもない。
じゃあさっきのあれは……
「…いつから見てたの?」
「えっ?!」
顔を上げると、彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめて僕を睨んでいた。
大きな黒目がちの瞳。
長いまつ毛。
少しだけウェーブがかった栗色のロングヘアが、彼女の胸の上で揺れていた。
その胸元が軽くはだけていて、白い肌がのぞいている。
「…え、えっと……」
一瞬で頭がパニックになった。
他人のセックスよりも、
見てはいけないものを見てしまった。
いや、まさか、女が、
てゆーか彼女が、こんなとこで……
「…最悪」
彼女はそうため息をつきながら呟いた。
そして僕に向き直る。
視線がぶつかり、僕の心臓はまた飛び跳ねた。