【完】初めての恋は――。
「おい。そんな嫌がるなよ」
「別に嫌がってはないですよー」
こんな会話が毎回のこと。
このやり取りも好きで、毎回繰り返してしまう。
「じゃあ、そんなに嫌そうな顔するなよ」
そう言って、笑いながら私の頭をくしゃくしゃと撫でてきた。
最近、先輩はよく私の頭を撫でてくる。
私はこれが凄く好き。
そして、同時に、すごくドキドキして、先輩に聞こえてるんじゃないかって、不安にもなる。
けれど、ふわふわした、楽しい、幸せなこの時間も、すぐに終わることを知っている。
「ほら、和也。私の可愛い亜美に気安く触らないの。何度言ったら分かるの?」
そう、いつも間に小百合先輩が入ってきてしまう。
きっと何気ない行動だと思う。
それなのに、邪魔されたような気分になってしまう。
大好きで、尊敬している小百合先輩なのに、こんなときだけは少し憎らしい。
恋する女の子なんだもん、これ位の負の感情も許されるよね?