お嬢様重奏曲!
 ゆっくりと皆に分かりやすいように構成を構築していく。
「まずは火から」
 構築速度はゆっくりなのだが、規模が尋常ではなかった。薫たちが数分、真夜が数十秒、美凪が数秒かけて構築する分を司はわずか一瞬で構築してしまうのだ。これにはチャオラン以外全員が言葉を失う。
「いっつもは時間が惜しいから、省くとこは省いてるけど今日はそんなわけにいかないからね」
 紙を指差すと一瞬にして紙が燃え上がり、灰すら残さず焼失する。
「んじゃ続けていくよ」
 先ほどと同じように他の属性の構成も構築していく。
 水は直径一メートルほどの球状となり紙を飲み込むも中の紙は濡れておらず、土は一瞬で物質崩壊させるもそこからさらに紙を再生させた。風は紙を切り別け最終的にはその場に極薄の四枚の紙が並べられていた。
「…とまあ、こんな感じだけどどうかな? 構築速度をいつもの四分の一にまで落としたから、分かりやすいと思うけど」
 実際、魔法戦となると構築速度が勝利の鍵を握る時もある。そのため今のような速度ではまず構築する事がない。
「魔法戦はいかに相手より速く攻撃し、または相手の攻撃を防御するか。究極的に言えばこの二つしかない。だからまず魔法使いは威力より構築速度と精度を重視する」
 得意そうに司は胸を張り説明するも、何の反応も返ってこないので不安になり全員を見る。
 すると薫たちは唖然としており、真夜は尊敬の眼差しを向け、美凪はまるで仇でも見るかのように睨み付けていた。
「えっと…俺の説明、分かりづらかった?」
「そんな事ないよ。ただ司君が私たちの想像よりすんごい魔法使いなんだなって、再確認しただけたがら」
 と答えたのは刻羽である。
「さすがは御影宗家の次期当主であらせられる。私など足元にも及びません」
 これは真夜のセリフ。
「ふ、ふん! これくらい出来て当然なのよ。何を偉そうに」
 美凪はよほど悔しかったのだろう。少しも司と目を合わそうとしない。
「ま、まあ。とにかく。ただ構成を構築するんじゃなくて、目的に合わせて一番効率良く自分にあった構築方法を見つける事が肝心って事。んじゃ訓練を再開しようか」
 訓練が再開されると、全員の目が先ほどよりも力がこめられていた。
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