お嬢様重奏曲!
「つまりあれだよ。よくある例でなぜマンホールが円いのかってやつだよ。つまり自分の感性や知識が問われるんだ」
「よう分からへんけどなるほどな。んでなんでマンホールは円いん?」
「いやなんでって。そんなのちょっと考えれば分かるじゃん。ねえ? 薫さん、咲枝さん」
「え? ……えっとその」
「…………」
 薫は視線をそらし、咲枝は顔を赤くさせ俯く。
「……えっとだな? 四角だと四辺よりも対角線の方が少しだけ長いだろ? それだと少しずれただけで落ちちゃうじゃんか。でも円だと」
「あっ! そっか!」
 司の説明に途中で答えに気付いた薫が声を上げる。
「円だと直径は同じだから外れて落ちる事がないんですね?」
「ご明答! さすがは薫さんだね」
「えへへ。ありがとうございます」
「ですがやはり司様は凄いですね? このような事をすでに習得なされておられるなんて」
「いや別に。俺も覚えたくて覚えたわけじゃないから、そんな褒められる程の事じゃないよ」
 魔法とは魔力と知識そして意思によって成り立つ。つまり力を大きくしたり多くの種類を使いたければ、それなりの膨大な知識を持たなくてはならないのだ。
 そのため覚えたくて覚えた知識じゃない事まで、覚えてしまったのだ。
「喜ぶべきかどうかは考え物だけど」
「ほんで? そのレドモンドさんの対策はなんかないん?」
「対策? ねえよ。そんにもん。ペーパーテストじゃあるまいし、公式や単語を覚えてればいいってわけじゃないし」
「なんやのそれ? つまり打つ手なしって事やんか」
「んな事ねえよ。知ってると知らないとじゃダンチだぞ?」
「そうですね? 試験方法が分かれば、心構え出来ますから」
 すかさず咲枝がフォローを入れる。
「咲枝さんの言う通りだな。最初から諦めてたらそこで終わりだ。でも悪あがきだとしても、諦めなきゃいつかチャンスはやってくる」
 美琴に言った言葉だがこれは薫に向けた言葉だった。
「後、そうだな? レドモンド式面接試験のコツは強いて言えば、一番最初に連想した答えはまず間違いだ。だからゆっくりとその場の状況を見極め、ゆっくり考えれば大丈夫だ」
「さよか。ほんじゃ残りも頑張り倒そか」
 美琴の表情が若干緩み安心した司だった。
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