哀しみの音色
聞こえてくるのは、その通りの公園から。
めったに通らないその道は、歌声とともに異空間に感じた。
俺は、まるで吸い込まれるかのように、公園へと足を踏み入れた。
「ねえ 誰かおしえて
どうすればこの悲痛な想い
あなたに届けられるの?」
綺麗な歌声…
一言で言えばそうだ。
だけどそれ以上に、その声はとても悲しみに満ち溢れていた。
湧き上がる涙。
泣きたくなる悲しみ。
あふれてくるその気持ちをこらえながら、その声の主へと近づいた。
「私一人 この場所から動けずにいる」
ジャングルジムの頂上。
そこにいたのは、
月明かりが誰よりも似合う……
水島莉桜だった。