哀しみの音色
「あ、たしっ……」
俺の服を握り締めたまま、莉桜が涙声で口を開く。
「生きたい……。
樹と一緒に……これからを生きたい……」
「うん。生きよう」
「……あたし……」
莉桜は胸にうずまる顔を、そっとあげる。
その顔は、涙でぐちゃぐちゃなのに、今まで見たどの莉桜よりも可愛かった。
「あたし……
樹が好き………」
初めて聞いた、
莉桜からの好きという言葉。
ああ……こんなにも
好きという言葉は嬉しいものなのか……。