哀しみの音色
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「ねえ……
早く約束守ってよ……」
あたしは、目の前に横たわる樹に語りかけた。
呼びかけても
開くことのない瞳。
部屋の中には、冷たい電子音だけが響いていた。
(………え…?)
突然来た着信。
それは病院からだった。
待ち合わせ時間になっても、いっこうに現れない樹に多少の苛立ちを感じながら待っていると、握り締めていた携帯が鳴った。
緊張気味に話す相手は、その病院の看護師。
耳をあてた電話から聞こえた言葉は……
(相沢樹さんが、事故に遭われて、こちらに運ばれています)
信じたくないものだった。