哀しみの音色
たくさん不安にさせた。
もし逆の立場だったら、俺も毎日が苦しい日々を送ってたはず。
だけど莉桜はきっと信じてくれてた。
俺は必ず、目を覚ますと……。
そして俺を想う歌をつくってくれた。
「歌……
もう一度聞かせてくれ」
「……うん」
胸元で小さく頷いて、莉桜はそっと離れた。
そして立ち上がると、海を見渡す。
スーッと息を吸って、奏でだす音色。
それは……
今まで聞いたどの歌声よりも綺麗だった。