またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜



体育館で卒業式が始まった。



最初に校歌を歌った。


今までこんなにきちんと歌ったことなんてないだろう。


緒形でさへも前を向いて歌っていた。



あたしのクラスの殆どは志望校に合格していた。


まさか、あたしも受かるなんて思ってなかった。


伊月のおかげかな……?




卒業の歌を歌っている途中、涙をすする音があちらこちらから聞こえてきた。


俯いて涙を流している生徒もいれば、ハンカチで顔を覆う生徒もいた。



この三年間色々あったな……


一番は、────伊月に出逢ったことだろう。



あいつに逢わなければ、あたしは今でもずっと泣いていただろう。


それを変えてくれたのは、紛れもなく伊月だ────。




「続きまして、卒業生代表による答辞。卒業生代表…伊月智哉」



すっ、と立ち上がった君は慣れたように舞台に上がって行く……






< 325 / 361 >

この作品をシェア

pagetop