何度でもまたあなたに恋をする
あの頃はまさかこんなにも大胆な行動をするなんて夢にも思わなかったな。しみじみと思い出に浸っていたのに突然、脳裏をよぎったのは今朝の清水さん。本当に同じ人物とは思えないくらいビックリ発言のオンパレード。

そして蘇るキス。ボンと鮮明に映像が浮かんできて恥ずかしくなって思いっきり頭を振る。そんなあたしを不思議そうに水を持ってきたマスターが見ていて「なんでもないですよ」と愛想笑いを浮かべた。

「そうそう、よくここで見てた男性に声掛けたのかい?」

「マスター、知ってたんですか?」

「知ってたよ。君みたいに若い女の子が一人でこんな喫茶店に入り浸ってくれるんだからきっと理由があるんだろうなって。まあお客様に立ち入るのはほどほどにするつもりだったんだけど、つい気になってね」

「クリームワッフルのためですよ」なんて今更そんな見え見えの嘘をつくのも返っておかしい。いや、嘘ではないんだけど。クリームワッフルだって楽しみの一つだったし。でも、一番はやっぱり清水さんの姿を一目でも見られたらなと思ってた。そのあたしがまさかこれから清水さんと待ち合わせをしてるなんてマスターはきっと予想外過ぎてビックリするだろうな。
< 20 / 37 >

この作品をシェア

pagetop