何度でもまたあなたに恋をする
「あっ、いらっしゃいませ」

カランと店先の鈴が鳴り、扉が開いた。恐らく清水さんが来たんだろうと思っていたのにどうやら違ったみたい。まだ来る気配もなさそうだからと携帯を手に取った。

「連絡も、なしか」

20分が過ぎようとしているけれど清水さんからは何の連絡もない。さすがに空腹に耐えかねてきた。しかも壁にはどでかくクリームワッフルの文字。誘惑に負けてしまいそう。そんな気持ちを打ち消すようにネットサーフィンを繰り返す。ニュースを読んだり、SNSを確認したりあまりにも暇なので携帯小説を読んだり。

それでも飽きてきたので今度は人間ウォッチングでもしよう。と思いつつもお客さんはあたしとさっき入ってきた人だけ。しかもチラッと確認したらちょっと苦手なタイプの男の人だった。

昔から男が苦手という感じでもなかった。特別親しい男子がいたわけでもなかったけれど会話くらいはしていたし、嫌悪感を感じることもなかった。ただ、どうしてもあるタイプの男子は受け入れられなくてその人たちに話しかけられると不快な表情を貼り付けていたと思う。

少し小太りでメガネ。それがあたしの苦手なタイプ。さっきチラッと確認したお客さんはまさにそのタイプだった。だから早く清水さんがここに来てくれることを心から願っていた。
< 21 / 37 >

この作品をシェア

pagetop