何度でもまたあなたに恋をする
「君、宮崎さんじゃないよね?」


二階で説明するからと外にある階段を上り、中に入ろうとすると扉の前であの人が立ち止まり、あたしに背中を向けたままそう言った。

ドクンと心臓が跳ね、嫌な冷や汗が出てきた。どうして?なんで?頭の中で否定をしなければいけないのに目の前のあの人はあたしがお姉ちゃんじゃないことに確信を持っている。

頭が真っ白になるあたしに追い打ちを掛けるかのように後ろを振り向く彼。後ろはもう踊り場の手すり。トンと背中が手すりについた。もう逃げられない。どうしよう。絶対にバレない自信があったのにいきなりバレてしまった。こんなとき堂々としていればいいのにこれじゃあまるでそうですと言っているようなものなのに。

あの人がもう逃がさないとあたしの後ろの手すりを両手で握る。所謂壁ドン状態だ。一目惚れした相手にこんな胸キュンなことをされているのに今のあたしは別の意味で心臓が壊れそうだ。

「・・・バラされたい?」


「えっ、な、何のことですか?意味が分からないんですけれど」


「お前、宮崎凛の妹だろ?」


さっきまでの丁寧な口調から少し乱暴な口調になったあの人は有無を言わせないように淡々とあたしを追い詰める。


「一目見たときに分かった。なあ、まだシラを切るつもりか?お前のことがバレたら姉貴は確実にクビだし、派遣会社ではブラックリスト入り確実。それはおろか損害賠償だって請求されてもおかしくねえよなあ」


「そ、そんな・・・・」
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