Kitty love
「おはよーございますっ! 今日も元気なあなたの為の浅木 真白ですよ~」

「おはよー真白ちゃん」

「なんだよもう今日は何の用だ……」



渋々ながらも一応は机から身体を起こし、ため息をつく。

天然女は俺たちのすぐそばまで来ると、両手を自分の後ろで組みながらえへへ、と笑った。



「さっきせんぱいたち、移動だったんですよね? そのときに遠くから高原せんぱいを見かけて、あたしの高原せんぱいレーダーが緊急事態を察知したので、飛んで参りましたっ!」

「緊急事態……? って、ちょっ、」



訝しむ俺を気にもせず、後ろに隠していた両手を出した彼女はその片方を使って、机に乗せられていた俺の右手をとった。

とっさに引こうとしたそれを、ぎゅっと掴むことで引きとめられる。



「てなわけでせんぱい! これあげます!」

「は? なに……チョコ?」



彼女の言葉に視線を下げてみれば、右手に握らされていたのはよくあるキャンディのようにビニールで包まれた一口サイズのチョコレート。

予想外のそれに若干驚きつつ声をもらすと、天然女はちちち、と人差し指を振ってなぜか得意げに口を開いた。
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