Kitty love
「高原さー、自分で気づいてるのかはわかんないけど……この頃の真白ちゃんに対する態度、すごいやわらかくなったよ?」

「……別にんなことねーだろ」

「いや、あるね。なんかもう、顔つきっつーか目つきっつーかなんか違うし」



まわりくどい横山の話し口調に、少し苛立つ。

俺は買ってきたばかりのブリックにストローを刺しながら、「だから何?」と投げやり気味に会話を促した。



「高原は、真白ちゃんをどうしたいの? 気づいてんでしょ? 真白ちゃんの気持ち」

「………」



気持ち? そんなの知らない。ただ毎日話しかけられて、好きだとも言われたけど、“そういう”感情とは、また違うのかもしれない。

いつだってうれしそうに笑っているアイツの、心の奥底にある俺に対する気持ちなんて、聞いてない。


視線をそらしたまま黙りこんだ俺を見て、横山が軽いため息をつく。



「ま、無理に今の状態をどうにかしろとは言わないけどね。でもあのコかわいくてなにげに人気あるんだし、うかうかしてるとそのうちどっかのイケメンくんにとられちゃうぞ~」

「……うぜーな、横山」

「はい暴言きたー」



いつものように横山の嘆きをスルーして、俺はブリックを机の隅に置くとそのまま両腕を乗せて伏せる。


……ほんと、うざい。横山が言った『どっかのイケメンくんにとられちゃうぞ』というせりふを聞いた瞬間にわいて出た、この、胸ん中のもやもや感。
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