Kitty love
「てめぇ、最初からそのつもりで……!」

「うるさいなー、勝手に勘違いして嫉妬したのはそっちでしょ。いいじゃん結果オーライで。ね、真白」

「へ? え?」

「いいからてめぇさっさと去りやがれ……!!」



今にも暴れ出しそうな俺にやっと満足したのか、ジャージ女は「じゃああたし、部活行ってくるわ~」と言って体育館の方へと消えた。

人気のない階段下の廊下には、俺と天然女のふたりだけが残される。



「あの女、仮にも俺は年上だってのにあの態度……!」

「せ、せんぱい、」



あいつが去った方向を見ながら苦々しげに吐き捨てた俺の制服の裾を、軽く引かれる。

振り返ると、頬を赤く染めながらきょろきょろと視線をさまよわせ、けれど遠慮がちに俺を見上げている天然女。

……くそ、かわいいな!



「あの、せんぱい、さっきのって……」

「おまえ、いっつもああなの?」

「へ?」

「教室とかで、俺以外の男にもああやって笑顔見せたりしてんのかって」

「え、え?」



俺にじっと見つめられて、困惑したようにまばたきをする彼女。

ああ駄目だ、うまく言えない。伝えられない。

こんなふうに、責めるみたいな言い方をしたいんじゃなくて。
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