Kitty love
想いが通じたら
「……くそっ」

「わ、」



つながったままだった手を引っぱって、天然女を自分の腕の中におさめる。

驚きで固まってしまったそいつをいいことに、俺はそのまま口を開いた。



「あのな、俺、今おまえに言いたいことがあるんだよ。だからこのまま黙って聞け」

「は、はいぃ」



かなり混乱しているらしい返事を確認し、俺は息を吸い込む。



「……正直俺、おまえが教室に来るたびうっとうしく思ってた。おまえなんか馬鹿っぽいし、つーか馬鹿だし、ちょこまかつきまとってくるし、人のことツンデレ呼ばわりするし、とりあえず言動がぶっ飛んでてわけわかんねぇし」

「……せ、せんぱい、もう……」



もういいです、と言いかけた言葉を、「けど、」という声をかぶせてさえぎった。



「だけどいつのまにか顔見ねぇと落ちつかねぇし、他の男としゃべってると気に入らねぇし、笑ってる顔がかわいいとか思っちまってるし」

「せ、」

「俺、おまえのことがすきみたいなんだけどどーしてくれんだよ」



ああ、言った。なんか偉そうになったけど言った。

今度は軽く息を吐くと、天然女はおずおずと俺の背中に腕をまわし、そしてぎゅっとその小さい手で制服を掴む。



「そ、それじゃああたし、責任とっていいですか」

「……おー、とってくれよ。まずは毎日俺に顔見せることだな」



ポンポン。自分のすぐ眼下にある小さな頭に手を乗せると、背中を掴む手の力が強くなった。

制服が皺になるかもしれないのに、自分の気持ちを自覚したら急に相手の何もかもが愛しく思えてくるから、不思議だ。
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