Kitty love
あーもうわかってんだよ、自分でもこのアンバランスさは。

そして昔から俺が気にしてることを知ってて、わざわざつっこんでくるこのふたりは……相当意地が悪いってことも、今さらな事実だ。


俺はこれ以上このふたりの近くにいるまいと、2階の自室にこもるべくその場を後にしようとする。

だがその1歩を踏み出す寸前に、がしりと両肩を掴まれた。

嫌な予感がしつつも渋々振り返ると、そこにはやはり同じ笑顔がふたつ。



「琉~可ちゃん、俺らふたりとも明日の講義午後からなんだよねぇ」

「へー、それはそれは良かったですね」



猫なで声でそう言ってきた知兄に、俺は抑揚のない声音で返す。

つーか、『ちゃん』をつけるな『ちゃん』を。



「てなわけでさぁ、思いっきり朝寝坊できるんだよねぇ」

「へー、それはそれは良かったですね」



同じく猫なで声の和兄にも、先ほどの知兄へのものとまったく変わらないせりふを返す。

するとあからさまに不機嫌な俺の反応を見て、兄貴たちはまた揃って同じ笑みを浮かべた。



「「……うん、だから、」」
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