赤ずきんの恋煩い
7月某日



「森凰高校?」
「そう。次の学校はココよ。」
「いやいやいや・・・2県またぐって・・・この家からじゃ無理でしょ?」

何時起きしろと?

「何もここから、通えなんて言わないわよ。」

じゃあ、寮暮らしか。
荷物まとめなきゃなー・・・

「一人暮らししなさい。」
「・・・命令ですか。・・・拒否権は・・・?」
「ないわよ。それに、この家もう売却済み。」
「えぇ!?聞いてない!」
「言ってないもの。」

これから、家探して、バイト探して・・・・無理だ!絶対できない。
それに・・・

「恵子さんは、どうするの?」
「あたしは、旅に出ます。」
「はぁ?」
「ウソウソ。北海道にいる友達の家にお世話になるの。だから心配しないで。」

なんだよ。一瞬だまされたわ。

「あと、あんたの家はもう手配してあるわ、仕送りもちゃんとするから。でもバイトはするのよ?あと、貯金。」
「はーい。」

住所と口座の暗証番号が書かれた紙、通帳が渡された。

「じゃあ・・・・」
「じゃあ・・・・?」
「解散ッ!!!」
「えぇ!?」
「ほら!出てった出てった!」


叔母に背中を押され、家から出された。
ひどくない?もうちょっと、惜しんでもよくない?


・・・もう、この家とはお別れなんだ。

父と母が死んでから、ずーっとここでお世話になった。
恵子さんには感謝してもしきれないくらいだ。
(婚期が遅れているのはきっと私のせいだな、うん。)
グレた時期もあったけど、決して私を一人にはしないでくれた。

ありがとう。



「しんみりしてないで早くいきなさい。」
「・・・」

このタイミングで!?








こうして、私の高校生活は再び幕を開けた。


緋頭(ひとう)涼香(りょうか)  16才

元『麒麟』の総長




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