恋人たちのパンドラ【完】
「あの時はああするのが一番だと思ったの。

医者の妹なのに病院が嫌いで身体の変化があったのに先伸ばしにしてたら、病院にかかった時はひどい状態で。

子供ができないって言われて、壮介とは一緒になれないって思った。

私あなたに家族を持ってほしかったから。

事情は分からなかったけど、無償の愛を捧げる相手が壮介には必要だと思ったの。

だから私じゃダメだったんだ」

涙が止まることなく流れる。

「泣かないでくれ。

俺はお前に謝られるほど綺麗な人間じゃない。

悠里と別れてから、一層他人を信用しなくなった俺は、くるものは拒まず、去るものは追わず。

悠里に顔向けできるような生き方をしていたわけじゃない。

だから今回みたいなことになったんだ。

こんな汚れた俺が悠里に触れていいのか、未だにに考えさせられるよ」

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