家族
 ふと、気づくと春夫は小さな公園の横を歩いていた。春夫は立ち止まり公園を見た。
 昔はよくこの公園で遊んだものだ。
 昔のままの滑り台があった。貞夫がよく梨佳と遊んでいた砂場もそのままだ。奥のほう、ここからでは木の陰になっている場所に確かブランコがあったはずだ。
 そういえば、貞夫と茜と三人で鬼ごっこをしたことがあったなと、春夫は思い出した。
途中で父が来てキャッチボールをした。
ベンチに母が座って笑っている。
鈴江が買い物の帰りに通りかかり、キャッチボールに無理やり参加してきた。
大人気ないと父が叱る。
舌を出しておどける姉。
仕事帰りの八州男がこちらを見つけて手を振った。
貞夫が持っていたグローブを投げだし、八州男のところへ駆けていく。
優しい笑みで貞夫の頭を撫でる八州男。
そこに鈴江が近づき、おかえりなさい、と微笑む。
さっきまでのおてんばな鈴江とは打って変わった優しい妻の顔。
家族皆で談笑しながら夕暮れの道を家に向かって歩いた。
そこには確かに幸せな家族の姿があった・・・。

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