家族
 いつの間にか春夫は公園の中にいた。
 特に何をするわけでもなく春夫は砂場にしゃがみこんだ。小さな砂場の真ん中に不恰好な城があった。昼間にどこかの子供たちが作ったのだろう。城のてっぺんに細い木の枝が斜めに刺さっている。旗か何かのつもりだろう。 春夫はその枝をまっすぐに直した。
きい、きい・・・。
 どこからか音が聞こえた。春夫は顔を上げた。
きい、きい・・・。
 砂場からも見えない位置にあるが、音はブランコのほうから聞こえてくる。
 春夫は立ち上がり何気なくブランコのほうへ向かった。
きい、きい・・・。
 月明かりの中、一人の女性がブランコに座っていた。ブランコは小さく揺れながら、きい、きいと鉄の錆びた様な音を出している。女性を見て春夫は「あっ」と声を上げそうになった。

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