月と太陽
 両親の結婚記念パーティーをきっかけに、美月は父が再婚してからの出来事をたどっていた。すると、いつのまにか、大学の最寄駅についていた。電車を降りて、改札を出て、歩いて大学へ向かう。

 山を切り開いて建てられた英明大学へ続く道は、そのほとんどがゆるやかに傾斜している。その通り沿いには、おしゃれなレストランや、カフェが立ち並んでいる。大学の周りの街並みは、いつかテレビで見たフランスのモン・サン・ミシェルを髣髴とさせた。

 美月と同じ英明大学の学生たちが、続々と傾斜する道を登って大学へやってくる。皆、友達同士で連れたって、朝からとても楽しそうだ。でも、その中に、美月の知り合いはいない。美月は独り、大学の門をくぐる。今日の2時間目は、応用マクロ経済学。美月の好きな科目だ。
 大講義室の一番前の席に座り、かばんから教科書とノートと筆記用具を出した。大学生は、そこしか席があいてないかぎり、前の席には座らない。彼女が一番前に座るのは、良い環境で勉学に励むためでもある。
 
 
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