POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》
「すみません、残業続きで、掃除なんてずっとしてなくて…」

玄関で私を待てせて、バタバタと慌てて片付ける。


「平気よ。ふふ…彼女がいるなんて嘘ね。」


「う、嘘じゃないです。

 遠距離で…まだそういう関係じゃなくて。」


「どっちでもいいわ、

 いまあなたのその指を味わえるのは私だもの。

 ここへ来て…私を触って。」


手に持った荷物をドサりと落として、

私の髪に差し入れる指先


私の唇が動く


「抱いて…」


彼の指先が

私の顔を確かめるように蠢く



唇で誘うのは私



そしてなめらかな指で



誘うのはあなた





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