かえるのおじさま
そのまま不埒に腰を絡めれば、今度は美也子がギャロの唇を吸う。

「私は『ギャロの女房』だから……」

「ああ、そうだったな」

甘い欲望に脳芯まで溶かされて、間抜けな答えしか出てこない。

大樹の葉の表面をすべる雨が、容赦なく二人の上に降り注いだ。
ギャロの欲情が加速する。

「そうだ……お前は俺の……」

吸盤のついた指先が、美也子の細い指を捉える。

それは実に不埒な動きで絡まり、指の腹を撫であげた。

ふと見下ろせば雨にぬれた女。
髪はしとどに濡れ、ぺったりと額に張り付いている。
張り付いた服は吸い込んだ水の重みで華奢なラインを描いて垂れ、その下に隠されているのが女の体である事を主張していた。

欲求不満の体に、ぴったりと張り付く彼女の体が温かいから……いいわけをやめて、ギャロは美也子の首筋に口付けを落とした。
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