溺愛マイヒーロー
すると今度は、誰かに後ろから肩を叩かれる。



「は~い、琴里チャンにお知らせっ」

「わ、瑞穂」



なぜかテンション高めな瑞穂は、あたしの肩に両手を置いてウキウキな様子だ。

前に立つ悠介も、突然な彼女の登場に目を瞬かせている。



「え、どしたの?」

「んふふー、このあいだ言ってた大学生との合コン、今週の日曜日に決まったから!」

「……!」

「だから早めに、参加か不参加の返事してよね~?」



やば、と思ったときには、時すでに遅し。

目の前から、低い声。



「……合コン?」

「ん? うん、そう。この子全然遊ばないからねー、視野広げるためにも連れ出そうと思ってんの」



言葉を拾って聞き返した悠介に、瑞穂はどことなく、自分自身が楽しんでいるような様子で答えた。

あたしはというと、なんでこのタイミングで!なんて思いながら、うつむいた顔を上げられずにいる。
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