可愛い生徒(カノジョ)の育て方

Viola作・大好きだった人~先生~

『卒業式。

 この日が来るのをずっと待っていた。

 私が生徒じゃなくなる日。

 先生が先生でなくなる日。

 式が終わって、私はいつもの英語科準備室へ。

 ノックをして、声をかける。

「どうぞ」

 ちょっと低めの、よく通る声。

 私の大好きな先生がそこにいた』



 ……これは?

 新作のタイトルを見て、胸騒ぎがした。

『英語科準備室』となっているが、もしかすると。

 急いで『次へ』の画面をタッチする。




『一番奥の机で、いつものように私を待っていてくれた。

「沢山、泣いたんだろう?」

「はい……」

 赤い瞼の私を見て、先生はかすかに笑った。

 先生、今日だけじゃないの。

 本当は、先生には何度も泣かされているんだから。

 でも、先生は知らないよね?


 私が毎日、どんな想いで先生に勉強を教えてもらっていたのか。

 先生の何気ない一言が、どんなに嬉しかったか。

 先生に認められたくて、どれだけ頑張ったか。

 ……想いを告げられなくて、何度泣いたのか』
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