可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 毎年恒例の卒業を祝う会は『車なので』と言って、一滴も飲まずに途中で抜け出した。

 きっと今頃、落ち込んでいるだろう。

 まだ泣いているかも知れない。

 だが、今は安西に直接関わってはいけない。


 卒業式後の今日がチャンスだと思った。

 あるクラスはみんなで卒業旅行。

 他のクラスも集まったり、部活の打ち上げもある。

 家族でお祝いをすることも当然あるだろう。

 そして教職員も飲み会。

 今日なら、きっと誰にも知られずに目的を達成できる。

 俺は、ショッピングモールであるものを買った。


 卒業式が終わるとすぐに高校入試が始まる。

 教務部の俺は、採点の後、ずっとPCに向かって入力作業をしていた。

 入試が終わってからも、合格通知の印刷と、合格発表の準備。

 そして、指導要録の最終チェックも。

 この忙しさが、今の俺にはありがたかった。

 余計なことを考えずに済む上、毎日がとても早く通りすぎるような気がする。

 だけど、いつも心の中では安西のことを気にしていた。


 新年度まで、あと少し。
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