可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 講習も今日で3日目。

 8月の暑さと、生徒の熱気で不快指数100%の大広間。

 一応みんな真面目に取り組んでいるのだが、そこにひとり、もじもじと動く生徒。

 ……またお前か、安西。向かい側に座って、一応聞いてみた。

「何か質問あるか?」

 そう問いかけたら、いつになく真面目な顔で、俺の目をじいいっと見つめている。

 もしかして、問題がわからなくていらいらして動いていたのか?

「先生、虫に刺されてめっちゃかゆいよぉ! お薬持ってますか?」

 確かに質問だったが、やはり期待とは違った……。

「……あったけど、もう全部生徒にくれてやった」

「えええええ~~~~! 先生だけが頼りだったのに」

「仕方ないだろう? そんなにかゆいのか?」

「そりゃもうかゆくてかゆくて勉強どころじゃありません!」

 初日から大騒ぎしてたからな。

「そうか。じゃあ、買いに行くか?」

 俺もちょっとだけ、気分転換にドライブしたかったし。
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