twin∞soul
益々私は食が細くなりでも、泣きたいくらい寂しい気持ちを、紛らわすように喫茶店と花屋のバイトをしていた。

何だか夜も寝付けなくて、朝はボンヤリしながら喫茶店で仕事をするもんだから、オーダー間違えたり急に眠気が襲い、フワッと何度も倒れそうになって、全く仕事にならなくなっていた。

心配ばかりかけさせてしまって、優しい言葉に泣いてばかり。

花屋も動いている時や、接客中はいいのだか、何もなくなるとボンヤリして、流を思い出しては涙が出てしまう。

心、此処にあらずという感じ。

花屋の店長さんは、同じ女性だからか何となく私が何で悩んでいるかは理解してくれていた。

ある土曜日の午前。
いつもはこの時間は喫茶店にいるのだか、どうしてもこの日の午前中だけ花屋のバイトに出勤して欲しいと頼まれて、やむ無く喫茶店は休みにして、花屋に朝から出ていた。

朝一は、やっぱりスーパーの中にある花屋だから か、お客さんの入りが多いな。

よし、朝からクヨクヨしない。
今日は朝からガツガツ売り上げ作るよ~!

「いらっしゃいませ☆お花いかがですかぁ?」

花の中に囲まれて、寂しくはない。

こうやって、悪い葉や花びらを取り除いて、余分な場所に元気がいかないように...。

キレイに咲きますようにって水をあげて、優しい人に面倒見てもらえますように...。

このバラのトゲで、誰かが傷つきませんようにって、トゲの処理をする。

お客さんの人並みが減った頃。

「あら、おねえさんお久しぶり」

あっ、あの例の主婦が現れた。

「いらっしゃいませ、お久しぶりです☆何か今日はいつもと雰囲気が違いません?」

何か表情が明るくなった気がする。

「そうかしら、気のせいよ」
「もしかして、何か良いことありましたか?」
「実はね、主人の浮気の事で色々あったんだけど、やっと解決したのよ」

戻る所にちゃんと戻ってよかった。 だから、最近花を買いに来なかったんだ。

「えっ、やっぱり浮気してたんですか?」
「大きなキスマークを平気で付けて帰ってきたのよ、信じられる?」
「大胆ですね」
「主人も何も言わずに謝るしかないわよね。相手がどうとかじゃなくて責めるとしたら主人本人の浮気心が許せない、今は携帯電話も解約させて、会社が終わったらすぐに帰ってきてもらってるの。休日もずっと、家族三人で過ごしてる」
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