twin∞soul
ドクッ…ドクッ…ドクッ…

静かに目を閉じると、流の心臓の音が聞こえ始める。

吸って、吐いて、吸って、吐いて。

その音に合わせて呼吸をすると落ち着く。

あの時も、そうだった。

流は私の髪を撫でる。

ほら、いつの間にか泣きやんだ。

「以前も、こんな事があったよな」

流はちゃんと覚えていてくれたんだ。

「流はあの時、どうして抱き締めてキスした の?」
「笑を黙らせたかったから」
「ハッ?なにそれ!」

「それもあるが、何だろう…試験落っこちて、家に帰れば色々言われたりして苛立っていたんだが、そんな時におまえの悩む姿を見て、俺自身と重なって見えたんだ。慰めてるつもりで、そうしてもらいたかったのは、実は俺の方だった」

そうだったんだ。
そんな大切な試験だったんだ。

「でも、あの時落としてよかった。というか頭の中がぶっ飛んだ理由が分かった気がする」
「どういうこと?」

流は私の頬に手をあてる。

「笑とこうなるように最初からなっていたんじゃないかって、そう思えてならない」

「流もそんなクサイこと言うんだね」
「いや、マジであの試験を受けて、もし通ったら俺はどこか地方へ行く話が出ていたからな」
「じゃあ、次の時には?」
「俺は異動と共に役が上がる」

どっかに行っちゃうってこと?
もう、ここには居ないということ?

「でも笑を、その時に一緒に連れて行く」

うそっ…。

流の強いまなざしは、私の疑りを消した。

「だから、もう少しだけ俺に時間をくれ。分かってくれるよな?」

私は流にギュッとしがみついた。
不安が少し、消えたから。

「うん…私、待ってる」
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