キミがいるから。
春になった。
春。それは出会いと別れの季節…



「ねー‼待ってってばっ!」

淡い栗色の長い髪の毛をひとつに縛った髪が風でそよぐ。小顔で痩せているわりに目が大きい。いかにもふわっとした感じの女の子。
今年から、高校生の早矢仕 菜未 (ハヤシナミ)は、急な下り坂を自転車で走っていた。ナミの前には、
茶色の長い髪の毛でナミと同じ髪型をした、大人っぽい顔立ちでネコ目をくりくりさせながら、親友の島田 杏(シマダアン)が振り向いた。

「ナミは、遅いんだって!そんなんだからいつまでたってもノロいままだぞー」
「そ…!そんな事ないもん!」
「まあまあ、そんなに怒らないの」
いたずらっぽい笑みをナミにみせる。
こういうアンの何気無い仕草が女の子のナミでも不思議なくらいどきっとする。
( …もぉ、可愛いんだから。)
ナミは心の中でそう思った。





「とーちゃあーく!」
甲高い声でアンが言う。
「つ…疲れた…」
とへにょへにょの声でナミが言った。
「早かったかな⁇」
アンがナミの顔を覗き込むようにして言う。またまた、可愛い仕草だ。
やはり、女の子といえどアンにはどきっとさせられる。

「教室いこっか?」
「うんっ‼」


2人は、教室に行った。

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