ぱんつのおかず


「痛っ…ちょ、セッチ?」



まゆをひそめて、こふじが振り返る。



『こんど、峰子ちゃんに会ったときは――』



そんとき、なんでか知らんけど、小雪に言われたセリフがアタマんなか、流れてって。


そんなんできるんやったらとっくにしとるわ、て思ったことが、流れてきて。



『やさしく』



手首にぎっとった、力ゆるめる。


スッて、手がズレて、握手しとるみたいなかたちになる。



『素直に』



…素直に。思っとる、ことを。



「いか、んとって」



こふじに向かって、そんなことを言うとった。


思ったことをそのまま、て。


口に出してみたけど、慣れへんから、変なとこで区切ってしもて。



でもなんか。


いっこ口に出したら、次の言葉が、勝手にすべり出てって。



「…ここ、おって」



手ぇにぎったまま、こふじを見上げる。


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