抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。
沈黙を破った日

悲劇の幕開け




―――――ピンポーン






夫が帰ってきた…。





慌て玄関へと急ぐ。







『…おかえりなさい。』






『…。』



夫は一言も言葉を発さない。


異様な空気が玄関を襲う。


私は玄関に置かれたままのボストンバッグを開け、着替えを洗濯機の中に放った。






すると、背後から声がした。




『…出せ。』





『…えっ?』





『…ックレス、出せ。』





『な、何?』




『早く出せ!!俺、見たんだぞ!!あれは、男とペアなんだろ!?』




『…ないわ…。捨てたから。それにペア…じゃないよ…。』




『嘘をつくな!!調べたんだ!!お前、何をしたんだ…!?』





『…してない…。何も…してない…。』







『…絶対に許さない…。俺を馬鹿にする奴は…許さない。』









バレた…。





夫に…気づかれた。





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