うしろの正面だーあれ vol.2


再び報道陣が押し寄せる。


これには父親も立ち止まって、目頭を押さえた。


「…杏奈は誤認逮捕以来、相当なストレスを抱えていました。
食事も喉を通らず、吐いてばかりでみるみる痩せていきました…。
何の罪も無い娘に疑いをかけられ、白い目で見られ、私や妻も心身共に疲労していました…。
それでも!家族3人で力を合わせ、頑張っていこうと励まし合っていた矢先のことです…。こんな不幸があっていいのでしょうか…。
私達のような不幸な人間を二度と出さない為にも、誤認逮捕等あってはならない!私はそう思います。」



熱く語った父親のキラキラと輝く瞳に、騙された人は少なくなかった。


多くの人が、彼もまた被害者なのだと解釈した。


全ては彼の思惑通りに進んでいた。 
  

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