あの日、言いたかったこと。

「……ごめんより……」


おじさんが小さくゆっくりと口を開いた。


「ごめんより……ありがとうって言ってくれないかな」


ありがとう……?

何で……


「光輝はきっと君達が泣きながら謝るより……笑顔でありがとうって言った方が喜ぶと思うから。
君達の笑顔を見たら……光輝も天国で笑ってくれると思うよ」


……おじさんの優しい声が心に響く。


その声が俺達の心を浄化し……真っ暗だった世界から引きずり上げてくれた気がした。


……俺達は泣いた。

泣いて泣いて……泣き続けた。


おじさんはそんな俺達を励ますでも何をするでもなく……ただ、見守っていた。

小さい頃、よく見た……優しい笑顔で。


どのぐらい泣いたのだろうか。

きっと、一生分の涙を流したのではないか。


光輝はいつも俺達のことを考えてくれいた。

その最期の瞬間まで……。


俺達に生きて欲しいと願った。

笑顔で、この先もずっと歩んでいってほしいと思ってくれていた……。

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