あの日、言いたかったこと。

「ヒナ君はやらないの?
……サッカー」


……杏の質問に俺は顔をしかめた。

そんな俺の表情を見て、杏は顔を下に向けた。


「……やれるわけねぇだろ」


あんなことがあって……。

今普通にサッカーをしてるアイツの神経を疑う。


「ヒナ君も……大好きだったよね?
サッカー……」

「……あぁ」


……好きだった。

……負けたくなかった。

だから……だから、俺は……!


「っ…………!」

「ヒナ君……」


杏が優しく俺の背中を擦る。

そのおかげで少し落ち着いた俺はゆっくりと壁にもたれかかった……。


「……コウ君がいなくなって、二人ともサッカーやめちゃって。
寂しいなって思ってたけど……ヒナ君達はずっと苦しんでたんだね……」


ポツリ……と杏が呟く。


「……忘れられるわけねぇだろ。
だって、光輝を殺したのは……」


“……俺達なんだから”

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