あの日、言いたかったこと。
杏が目を見開いて俺を見る。
俺はボーッ……と遠くを見つめる。
「そんなっ……あれはヒナ君達のせいじゃないよ!
事故だったんだよ!?」
「……そうだな。
でも……あの時、本当に死ぬはずだったのは……光輝じゃなくて俺達だから」
「ヒナ君……」
光輝は本当なら今頃生きてるはずだった。
あの時、光輝だけは助かるはずだった。
なのに、俺達は無傷で…………代わりに光輝は無惨な姿になっていた。
「それでもヒナ君とユウ君は悪くないよ!
悪いのは突っ込んできたトラックでしょ!
そんな風に……自分を責めないでよ……」
杏は必死にそう言ってきた。
あの時、周りの人はみんな俺達にそう言った。
でも……そうじゃない。
そうじゃないんだ……。
「……杏だって知ってるだろ。
あの時……俺達がどんな関係だったか」
「……それは……」
「……何で……あんなことになっちまったのかな。
もし俺達がいつも通りなら……誰も死なずに済んだのにな」
俺は遠くの街並みを見つめながら……ボソリと呟いた。