あの日、言いたかったこと。
俺と悠斗


夏休みが終わりに近づくにつれ、俺の補習授業も終わりまであと数回になっていた。

まぁ、ほとんど聞いてなかったけど。

次のテスト、また赤点かな。

つーか、意味分かんねぇし。

何だよ、ベクトルとか。

知らねぇよ。


そんなことを思いながら俺はジュースを買おうと自販機に小銭を入れようとした。

………が


「あ………」


横から伸びてきた小銭を持っていた手と手がぶつかってしまった。

慌てて謝ろうと顔を上げると……


「………………」

「………………」


相変わらずムカつくぐらいイケメンな悠斗がいた。

悠斗は部活が終わってもう帰るのか、制服を着ていた。


「……俺が先なんだけど」

「俺の方が先だし」


……お互いに譲らない。
< 37 / 133 >

この作品をシェア

pagetop