あの日、言いたかったこと。
「……俺、メチャクチャ喉乾いてるんだけど」
「俺だって運動したからすげぇ喉乾いてるし」
「いや、俺の方が」
「お前は何もしてねぇだろ」
「授業受けてましたー」
「どうせ聞いてないんだろ。
そんなんだから補習に引っかかるんだよ」
「聞いてるし。
先生の話、一言も聞き逃してねぇし」
「どうだか」
そう言いながらさりげなく悠斗が自販機に小銭を入れようとする。
「待てよ。
俺が先だってば」
「早く飲みてぇんだよ。
すぐ終わるからいいだろ」
「順番は守るのが当たり前だろ」
「お前、遅いんだよ」
「そうやって、お前は昔から……」
………って。
「………………」
「………………」
……何普通に話してるんだ、俺は。
「………ふっ」
悠斗は俺の顔を見て小さく笑った。
「ちょっ……何で笑ってんだよ」
そう言いながらも俺の顔は……笑顔だった。